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〜Sさん〜番外編
小ダヌキさん
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名古屋の方言

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イラスト その人〜Aさんは、わたしが名古屋を受け持つことになってはじめてのお仕事の担当だった。
Aさんが、本当のお金持ちだったかは、定かではない。
けれど、いつもお財布にはそれなりの札束が入っていて、それなりの厚みがあった。
わたしの仕事は主に建築現場。
工事中の汚いところに、バシッとスーツを着た女性が入っていけば、当たり前に目だってしまう。
現場事務所に入った瞬間、騒がしかった事務所が、とたんシーンとなり、注目を浴びることも。
生まれつき、目立ちたがりなわたしには、持ってこいなのだが・・・
Aさんは、女性のわたしをとても歓迎してくれた。
中には、女性だということだけで、現場への出入に差別をつけたがる人もいる。
Aさんは、わたしの訪問日に合わせて、現場近くの焼肉屋さんで、懇親会をしてくれた。
立場的には、わたしの会社が接待しなければならないのに、Aさんはこそっとポケットマネーだからと、わたしの支払いを拒否してくれた。
『上』のお肉をたらふく戴き、ビールまでご馳走になってしまった。
Aさんの部下たちも、大喜び。
名古屋は、大阪と違って豪快だなぁ、と感じた。
後で、Aさんの部下に聞いてしまったのだが、実は翌日、協力金を徴収されたらしいが。
そんなAさんの現場も終わりに近づく。
『お餞別に』と、現場最後の日に百均で買ったような小さな紙袋をくれた。
大阪に帰ったら、ゆっくり開けて、と。
待ちきれず、新幹線の中で中身の確認。
すると、紙袋の中に、もうひとつの紙袋。
某有名ブランドの名前が。
中身はウン万円するお財布が入っていた。
当然、そんな高価なものをいただくわけにもいかず、翌日現場に電話する。
『安物やし、要らなかったら捨てて。』
安物のわけはないが、捨てるくらいなら・・・といただくことにした。
このAさんのせいかどうかはわからないが、このことでわたしは名古屋に豪快なイメージを持つことになったことは、言うまでもありません。




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